先日、私の勤める病院に、認知症ケアの研究のために大学の研究者の方々が来られました。なんと、そこにはユマニチュードの創始者、イヴ・ジネスト氏の姿も!(テレビで見ていた方だったので、心の中で「本物だ!」と少し驚いてしまいました)。
そもそも「ユマニチュード」とは?
フランス生まれの認知症ケア技法で、一言でいえば「人としての関わりを大切にするケア」です。相手の尊厳を守り、安心感を引き出すために、4つの柱を組み合わせて行います。(詳細はhttps://jhuma.org/humanitude/)
- 見る:正面から、優しいまなざしで見つめる
- 話す:穏やかな声で、肯定的な言葉をかける
- 触れる:ゆっくり、優しく触れる
- 立つ:自分の力を使えるようサポートする
正直なところ、最初にこれを見たとき、私は少し冷めた目で見ていました。「これって、わざわざ明文化しなくても当たり前のことじゃないか?」と、どこかバカにしていた部分があったんです。
「当たり前」を徹底してみたら、患者さんが変わった
でも、ジネスト氏たちの来院後、どうしても心に引っかかっていて(笑)。 「試しに、いつも以上に意識してやってみよう」と思い立ち、患者さんの目をしっかり見て、積極的に声をかけ、触れるようにしてみました。
すると、驚くような変化が起きたのです。
いつも「むすっ」としていた患者さんが、ふっと笑ってくれました。 最初は「たまたまかな?」と思いましたが、継続してみると、さらに驚きの連続。 それまで単語すらほとんど発しなかった方が、自ら言葉を発しようとしたり、私が近くを通るだけで手招きして呼んでくれたりするようになったのです。
他にも、常に「あーあー」と声を出し続けていた(呻吟があった)方が、私の問いかけに耳を傾けようとしてくれたり、意思疎通が難しいと思っていた方がこちらに顔を向けてくれたり……。 今まで見落としていただけかもしれませんが、明らかに「反応が変わった」という確かな手応えがありました。
忙しい現場で、どう取り入れる?
とはいえ、介護の現場は戦場です。おむつ交換や体位変換に追われる中で、完璧にユマニチュードを実践するのは難しいのが現実ですよね。
そこで、まずは「いつもの動作に少しだけプラスする」こんな方法はいかがでしょうか?
- 入室時:しっかり挨拶をする(ユマニチュード内ルールはノック!)
- ケアの前:いきなり触れず、まずは目を見て「これからおむつを替えますね」と体に優しく触れながら伝える
- 少しだけ大げさに:優しさを「表現」する意識で接してみる
これだけで、患者さんの反応は変わると思います。 患者さんの反応が良くなれば、スタッフも嬉しくなって、さらに積極的に声掛けをする……。そんな「正のスパイラル」が生まれれば、職場環境もぐっと良くなるはずです。
ただ、わたくしの失敗談もありまして、患者さんに積極的に大げさに話すもんですから、同室の患者さんから「うるさい」って言われることしばしば。声掛けはユマニチュード内ルールである「やさしくおだやかに」を心掛けて下さい。(笑)

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