こんにちは!定年をひたひたと感じる年頃になり、持病の腰痛に騙し騙し向き合いながら現場に立つPT(理学療法士)です。
突然ですが、みなさんの職場では「現場のために絶対に良い機器」の導入、スムーズに進んでいますか?
今回は、私が当院で移乗支援ロボット「スカイリフト」を導入しようとして、見事に爆死したリアルな失敗談をお届けします。
厚生労働省も「ノーリフト(抱え上げない介護)」を推奨し、補助金制度もある。現場のアンケート結果も上々。…なのに、なぜ導入できなかったのか?
同じように職場の業務改善や機器導入で壁にぶつかっている方の参考(と反面教師)になれば幸いです!
始まりは「スカイリフト」との出会いと自分の腰痛
持病の腰痛が悪化し、リハビリでの移乗介助や立ち上がり練習がつらくなっていた私。 昨年「ノーリフト協会」の研修に参加し、香川県の施設で大活躍していた「スカイリフト」という移乗支援機器を知りました。
「これなら自分自身の腰を守れるし、患者さんの立位保持練習や離床促進にもめちゃくちゃ使える!」
そう確信した私は、すぐにデモ機を手配。実際に使ったスタッフからも好評だったため、5月に約60万円の稟議書を速攻で提出しました。さらに、8月末が締め切りの「エイジフレンドリー補助金」を活用すれば、病院の負担も抑えられる完璧なプランのハズでした。
突然の「待った」と、謎のアンケート再提出ループ
しかし、ここから悪夢が始まります。
上司からの返答は「本当に使う対象者がいるのか?使いたい療法士がいるのか?」。 もっともな意見なので、すぐにPT・OT・STの計25名にアンケートを実施しました。
結果は一目瞭然でした。
- 「週に数回以上」身体負担を感じているスタッフが多数
- 二人介助の負担やヒヤリハットが常態化
- スカイリフト導入による負担軽減・安全性向上に期待する声が圧倒的
「これで文句なしだろ!」と6月下旬に集計と考察を上司に提出したところ……戻ってきた言葉は衝撃的なものでした。
「運用方法がわからない」「本当に使うかわからないから、再度アンケートを取る」
指示通り取ったアンケート結果を完全に無視。あげくの果てに上司自ら「追加のアンケートは取る」「運用が〜」「同時間帯にかぶったら〜」と言い訳のオンパレード。
さらに「病棟で導入を検討するのはどうか」と言い出す始末。 ただでさえ新しい機器にアレルギーのある病棟に、リハ科での試用・運用実績も作らずに丸投げできるわけがありません。厚労省の指針すら届かない、壁のような拒絶反応でした。
結局、補助金の締め切りは過ぎ…
不毛なやり取りを繰り返しているうちに、本日9月3日。 お目当てだったエイジフレンドリー補助金の申請期限は静かに終了しました。
お金の目処も立ち、現場の需要も十分。1台導入して運用しながら調整していけば良いだけの話なのに、なぜここまで頑なに阻害されるのか。
結論から言うと、未知のもの・新しい変化をただただ恐れる「老害思考」に阻まれたのだと痛感しました(私も十分いい年ですが!笑)。
今回の失敗から学んだ「本当に必要だったこと」
今回の痛烈な失敗から、私は大きな学びを得ました。
それは、「正論やデータ(稟議書・アンケート)を揃える前に、親分(決定権者)へのネゴシエーション(事前工作)をせよ」ということです。
いきなり完璧な稟議書を出すのではなく、
- 「最近こんな機器があるらしいですよ〜」
- 「厚労省も抱え上げない介護を推奨してますしね〜」
- 「デモ機だけ無料で借りてみましょうか?」
- 「稟議書の案を作ってみたんですが、上司目線でアドバイスいただけますか?」
このように、「上司を巻き込んで一緒に決めた感」を作り出す政治力(根回し)こそが、組織で新しいものを導入する際には不可欠だったのです。
……まあ正直に言うと、私自身がこの上司のことが大嫌いだったので、その「嫌悪感」が態度に出て根回しを怠ったのが、今回一番の敗因かもしれません(笑)。
みなさんも、現場を変えたい時は「正論」だけでなく、嫌いな上司への「事前の刷り込み」をお忘れなく!(笑)。
介護ロボット(スカイリフト)導入に関する提案書
1. 目的:本提案は、当院における移乗介助業務の安全性向上およびスタッフの身体的負担軽減を目的とし、移乗支援機器「スカイリフト」の導入を検討するものである。
2. 現状の課題と背景スタッフの身体的負担: 移乗介助に伴う腰痛の発症・悪化のリスクが高く、離職や労働生産性の低下に直結している。
介助事故のリスク: 人力による移乗では、患者の表皮剥離や転落、スタッフの転倒などのヒヤリハットが潜在的に発生している。
リハビリの質への影響: 重度介助者の移乗に時間を要し、本来注力すべき機能訓練やADL(日常生活動作)練習の時間が圧迫されている。
3. 導入機器の概要製品名: スカイリフト(移乗支援ロボット)主な機能: 吊り上げない「抱え上げ支援」により、立位保持が困難な患者でも安全かつスムーズに移乗が可能。特筆すべき点: 小回りが利き、従来の床走行式リフトに比べ設置スペースや操作の心理的ハードルが低い。
4. 導入による期待効果(メリット)項目具体的な効果安全性の向上抱え上げによる皮膚トラブル(剥離)や転落事故の防止。労務環境の改善腰痛予防によるスタッフの健康維持、および離職率の低減。業務効率化従来二人介助が必要だったケースを一人で実施可能にし、人員配置を最適化。質の向上患者にとっても身体的苦痛が少なく、安全に離床機会を増やせる。
5. 費用対効果の直接的効果: 二人介助から一人介助への移行による、時間の削減効果。間接的効果: 腰痛による休職・退職が発生した場合の採用・教育コスト(推定1名あたり数百万円)の回避。
6. 導入計画デモ実施: メーカーより実機を借用し、特定病棟にて1週間の試用運用(実施済)。本導入: 運用マニュアルを作成し、段階的に活用範囲を拡大。
7. 結論高額な初期投資ではあるが、中長期的なスタッフの定着率向上と、医療安全上のリスク回避を考慮すれば、当院の経営基盤を強固にするための「必要な投資」であると判断する。
2026年5月26日
移乗支援機器「スカイリフト」の導入を検討 アンケート
先月、後方サポートタイプリフトスタンディングリフト「スカイリフト」のデモを実施しました。今回、当院における移乗介助業務の安全性向上およびスタッフの身体的負担軽減を目的に、移乗支援機器「スカイリフト」の導入を検討しています。そこで以下のアンケートに答えていただきますようよろしくお願いします。
1. 基本情報
専門? ①OT ②PT ③ST
2. 現状の移乗介助に関する負担・リスク評価
Q1. 移乗介助で身体的負担(腰・肩・腕など)を感じる頻度を教えてください。
①ほぼ毎日 ②週に数回 ③月に数回 ④ほとんどない ⑤全くない
Q2. 移乗介助に関連して腰痛・肩痛などの症状が出たことがありますか。
①よくある ②時々ある ③まれにある ④ほとんどない ⑤全くない
Q3. 移乗介助中に「危険を感じた」または「ヒヤリハットがあった」経験はありますか。
①よくある ②時々ある ③まれにある ④ほとんどない ⑤全くない
Q4. 二人介助が必要で困る場面はどの程度ありますか。
①非常に多い ②多い ③時々ある ④まれにある ⑤ほとんどない
3. スカイリフト導入による改善可能性の評価
(デモを見た方はデモの印象、見ていない方はパンフを見た印象で回答)
Q5. スカイリフトは「安全性向上」に役立つと思いますか。
①とてもそう思う ②そう思う ③どちらとも言えない ④あまり思わない ⑤全く思わない
Q6. スカイリフトは「身体的負担の軽減」に役立つと思いますか。
①とてもそう思う ②そう思う ③どちらとも言えない ④あまり思わない ⑤全く思わない
Q7. スカイリフトは「業務効率化」に寄与すると感じますか。
①とてもそう思う ②そう思う ③どちらとも言えない ④あまり思わない ⑤全く思わない
Q8. スカイリフトは「患者の負担軽減・QOL向上」に寄与すると感じますか。
①とてもそう思う ②そう思う ③どちらとも言えない ④あまり思わない ⑤全く思わない
4. 使用したい場面の具体例(複数選択可)
Q9. スカイリフトを使用したいと思う場面を選んでください。(複数選択可)
①立位保持が困難な患者 ②体重が重い患者 ③二人介助が必要な患者
④皮膚トラブル(剥離)リスクが高い患者 ⑤ベッド⇄車椅子の移乗
⑥立位保持・立ち上がり練習
⑦その他(自由記述)
5. 導入後の使用意向
Q10. スカイリフトが導入された場合、使用したいと思いますか。
①積極的に使用したい ②必要に応じて使用したい ③どちらとも言えない ④あまり使用したくない ⑤全く使用したくない
6. 自由記述
Q11. 移乗介助に関する困りごと、スカイリフトに期待すること、懸念点などがあればご記入ください。
2026年6月22日(月)
移乗支援機器「スカイリフト」導入検討アンケートからの考察
調査目的
本アンケートは、移乗支援機器「スカイリフト」導入に向け、 現場の負担・リスク・業務効率の課題を可視化し、導入効果を評価することを目的として実施しました。(別紙:アンケート用紙・アンケートまとめ)
1.主な結論
PT・OT・ST 全職種で身体負担・ヒヤリハットが高頻度で発生
二人介助の負担が大きく、業務効率の低下が顕著
スカイリフト導入による「安全性向上」「負担軽減」「効率化」への期待が高い
使用意向も高く、導入後の定着が見込める
自由記述では“負担の偏り”“患者の大型化”“安全リスク”など深刻な声が多数
→ 導入は医療安全・労務改善の観点から合理的であり、必要性が高い。
2. 回答者属性
回答者:PT・OT・ST 計 25名
職種別内訳:PT 9名、OT 8名、ST 8名
3. 現状の課題(Q1〜Q4)
Q1:移乗介助で身体負担を感じる頻度
PT・OT・ST いずれも 「週に数回以上」 が多数
特に PT、OT は負担が高く、腰痛リスクが顕著

Q2:腰痛・肩痛などの症状の有無
症状あり(よくある+時々ある+まれにある)=多数派
「慢性的な痛み」「負担の偏り」など自由記述でも深刻な声

Q3:移乗介助中のヒヤリハット
PT・OT・ST 全職種で発生
特に PT は「危険を感じる」頻度が高い

Q4:二人介助が必要で困る場面
PT・OT ともに“多い”が多数
OT からは「座位困難でフレックスボード対応が多い」との声
大型化した患者対応に苦慮している声あり

4. スカイリフト導入による改善期待(Q5〜Q8)
全体傾向
安全性向上・負担軽減・効率化・患者QOL向上の全項目で肯定的回答が多数
Q5:「スカイリフト」は安全性に寄与すると思うか
Q6:スカイリフトは「身体的負担の軽減」に役立つと思いますか。
Q7:スカイリフトは「業務効率化」に寄与すると感じますか。
Q8:スカイリフトは「患者の負担軽減・QOL向上」に寄与すると感じますか。

5. 使用したい場面(Q9)
多かった選択肢
立位保持困難
二人介助が必要
体重が重い患者
皮膚トラブルリスクが高い患者
職種別の特徴
PT:幅広い場面で使用意向
OT:座位困難者が多く、使用場面が限定される傾向
ST:対象者は少ないが「安全確保のため必要」との声あり
(横棒グラフ)
6. 使用意向(Q10)
「積極的に使用したい」「必要に応じて使用したい」が多数
「使いこなせるか不安」という声もあるため、導入時の研修が重要
7. 自由記述(Q11)からの重要コメント
負担・安全面の深刻な声
「患者の大型化により男性療法士に負担が偏っている」
「二人介助が多く、業務効率が悪い」
「皮膚トラブルや転倒リスクが心配」
導入への期待
「どんな人でも対応できるよう機器導入を進めるべき」
「負担軽減のために必要」
導入に向けた懸念
「対象者が限られるのでは」
「使いこなせるか不安」 → 研修・運用ルール整備で解決可能
8. 総合まとめ
現場の課題
身体負担・腰痛
二人介助の多さ
ヒヤリハット
患者大型化による負担偏在
スカイリフト導入の効果
安全性向上
身体負担軽減
業務効率化
医療安全リスクの低減
離職防止・労務改善
結論
アンケート結果から、 スカイリフト導入は現場の課題解決に直結し、医療安全・労務改善の観点から極めて合理的な投資であると考えます。
アンケートまとめ






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