唐突ですが、AとBの写真の「違い」が判りますか?


答え:
違いはBは、膝が上がっている(大腿後面がクッションから浮いている)でした。
施設や病院、あるいはドラマやニュースの中で、Bのように座っている人を見かけませんか?
こんな風に座っている人を見ると残念で仕方がありません。
なぜ「膝が上がる」といけないのか?
膝が上がると、太ももの裏が座面から浮いてしまいます。 すると、座る時にかかる圧力がすべて「坐骨(お尻の骨)」に集中してしまうのです。
下図は膝が上がった状態と大腿後面が座面に接触した状態の圧分散図です。
B(膝が上がった状態)の方が局所に圧が掛かっていることがわかると思います。


- お尻が痛くなる: 局所に圧が集中し、激しい痛みの原因になります。
- 座っていられない: 痛みのせいで「寝かせてほしい」という訴えが増えます。
- 不穏や姿勢崩れ: 痛みを避けようとして、体がずり落ちる「仙骨座り」になったり、落ち着きがなくなったりします。
20年ほど前、私の勤める病院でも「離床(車椅子に座ること)」が強く推奨されていました。 当時は適切な調整の知識が普及しておらず、座らされた患者さんが「寝たい」と訴えたり、不穏になったりすることがよくありました。
当時のスタッフは「座る方が健康に良いから」となだめていましたが、実はただ座らせるだけ」では、逆に苦痛を与えていたのかもしれません。
たった3ステップ!
利用者さんの痛みを減らし、介護の手間を少しでも軽くするために、フットサポートの長さを調整してみましょう。 使うのは、多くの場合「10mmのレンチ」1本だけです。 (場合によってはドライバーの場合もございます)
- ネジを緩める: フットサポート裏のネジを緩めます。
- 長さを合わせる: 太ももの裏がしっかり座面に触れる位置まで、長さを調整します。
- ネジを締める: 位置が決まったら、再びネジをしっかり締めます。



これだけで、お尻の圧力が分散され、痛みや不穏が劇的に軽減することがあります。
「忙しすぎて時間がない」というあなたへ
「そんな10分の時間も取れないほど忙しい!」という気持ち、本当によく分かります。 介護の現場は、やるべきことが次から次へと溢れてきますよね。
でも、もしこの「一歩」が、あなたの仕事へのモチベーションを高めてくれるとしたらどうでしょうか?
脳科学では、「好奇心」が意欲を高めると言われています。 この記事を読んだあなたは、明日から車椅子の足元が気になり始めるはずです。 あなたの「脳」にフットサポートが働きかけてきます。(笑)
「この人の膝、ちょっと高いかな?」という小さな気づき。それが利用者さんの笑顔に繋がり、結果として「寝たい、不穏」の対応に追われる時間を減らしてくれるかもしれません。
まずはレンチを手に取ることから、始めてみませんか?


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